先般、福岡高裁が定年後の「再雇用」について75%の給与減額を違法と判断しました。
多くの企業で定年後の再雇用の際には、賃金が下がるのが慣例になっています。
それに、司法の立場から警笛を鳴らす結果となっています。
現在、高年齢者雇用安定法では、65歳の年金支給までの雇用継続、定年廃止、定年の引き上げを企業に義務付けています。
企業側はそれらを達成しつつ、人件費の増加を抑制するために再雇用で賃金をいくらか減額する手法を取ってきたわけです。
中には、それまでと仕事の中身が何ら変わらないのに、ただ定年後の再雇用というだけで賃金が大幅にカットされる状況がありました。
今回の福岡高裁の判例の影響で、今後は同様の訴訟が増えると予想されます。
判例が増えれば、どの程度の減額までが雇用主としての裁量として認められ、どこからが違法のラインかが明らかになってきます。
高齢化で元気なシニアの活躍が期待されていますので、判例の動向は気にしていきたいと思っています。
事業者にとっても、敏感に反応していかなければならない分野です。